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第19回卒業証書授与式を終えて

 3月1日(金)卒業式が挙行され157名の卒業生が巣立っていきました。平成31年3月以来、5年ぶりに在校生が参加し、またたくさんのご来賓と保護者の皆さん総勢800名を超える多くの方々に見守られ、厳粛な中にも暖かさのある素晴らしい式となりました。 
 卒業した3年生は、コロナ禍まっただ中に入学しました。数々の制限がある中で高校生活の大半を過ごし、自分を表現できず苦しんだことも多くあったと思います。しかし、様々な個性を持つ仲間と、互いに認め合い、助け合い、学びあって成長してきました。今年度に入り新型コロナウイルス感染症が5類に移行して制限がなくなり、すべての行事を以前同様に行うことができるようになりました。応援練習、対古川高校定期戦、築高祭、体育祭、地域のお祭り等のボランティア活動など、1・2年生で十分に経験できなかったにもかかわらず最高学年として責任を持ち、創意工夫して新たなスタイルを整え後輩に模範を示してくれました。また、我々教職員もそのような献身的な姿から、よりよい教育の在り方について思いを巡らせ、考えを深めることができたと思っています。
 特に前生徒会長が答辞の中で、コロナ禍で思うような活動ができずモヤモヤしていた気持ちを先生方にぶつけるなど様々な葛藤がありながらも、対話を繰り返す中で、さまざまな気づきを得ることができ、そこから大きく成長できたことなどを涙ながらの語ってくれました。また、式の最後の校歌斉唱では、3年生が大粒の涙を流しながら母校への感謝も思いを胸に力一杯声を張り歌っていました。また、後輩たちも先輩への感謝とその門出を祝うべくいつも以上にしっかり歌ってくれました。築高生の思いが詰まった歌声に感動し、私も感極まってしまいました。
さて、これからの次代を担う築高生には、急激な少子高齢化が進む中で成熟社会を迎えた我が国において、1人ひとりが持続可能な社会の担い手として、その多様性を活力とし、質的な豊かさを伴った個人と社会の成長につながる新たな価値を生み出していくことが期待されます。
 しかし、情報化やグローバル化が急速に進展する現代社会は、多様な事象が複雑さを増し、変化の先行きを見通すことが一層難しくなり、何が正解なのかは誰にもわからない、予測困難な社会となっています。2019年に出現した新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延は、その混沌とした状況に拍車をかけただけでなく私たちのコミュニケーションの在り方にまで依然として深く影響を与え続けています。
 さらに一昨年2月に起きたロシアのウクライナへの侵攻は収まる兆しがなく 昨年にはイスラエルとパレスチナの紛争が勃発し、中東諸国を巻き込み大きな混乱を招こうとしています。国内においても地球温暖化による気候変動、年始には能登半島地震が起きるなど災害が絶えません。石油をはじめ穀物などの物資が滞り、多くの国において原材料不足を招き物価高騰を引き起こしています。
 こうした社会経済の大変動の一方、今日、人類は未だかつてないほどの加速度的なテクノロジーの進展を経験しています。「Society5.0」とも呼ばれる新たな社会の到来が、社会や生活を大きく変えていくという未来予測がなされていますが、人々の生き方や価値観に大きな変革が求められる未来社会への漠然とした不安は、未だに払拭されていません。
そうはいうものの、変化が激しく予測が困難でも、決して未来が閉ざされているわけではありません。しかし、「ほどほどの自分」や「まあまあの生き方」に満足してはその重い扉を開くことはできません。築高生には、常に「なりたい自分」を更新し、多様な他者と協働し、よりよい社会の在り方を模索しながら、自分の望む人生をたくましく切り開いていくことを期待しています。

 

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ビっくりはら 住みたい田舎ベストランキング全国1位 「宮城県栗原市」

 宝島社発行の月刊誌「田舎暮らしの本」2月号に掲載された「第12回住みたい田舎ベストランキング」で栗原市が人口5万人以上10万人未満の市を対象にした全国総合部門で初の第1位に輝きました。
 移住定住促進に積極的な全国587市町村を対象に、移住支援策、医療、就労支援、移住者数など200を超えるアンケート調査を数値化してまとめた結果、最も高い値だったとのことです。特に移住促進イベントに力を入れ多くの移住相談者を集め栗原の魅力を多角的に伝えたり、出産応援給付金や子育て応援給付金、学校給食無償化や18歳までの医療費無料化などの子育て支援、栗駒山や伊豆沼、壮大な穀倉地帯である自然環境が高い評価を受けました。人口減少が進んでいる栗原市の官民あげてのさまざまな取り組みは多くの市民に誇りと希望を与えるとともに、さらにもっとよい街にしていこうという元気をもらったと思っています。
 築館高校では、5年前から第2学年が「日本一住みやすい街『くりはらプロジェクト』」と銘打ち総合的な探究の時間に栗原市の課題を取り上げて調査研究し、その解決策を考える学習を進めています。学習のスタートに栗原市長さんから基調講演をしていただき、栗原のよいところと課題について説明いただきました。その後、農業・産業・観光・自然環境・医療・福祉・子育て・地域防災の8つのジャンルに分かれ、栗原市の職員の方はじめ市内の企業等の方々に協力いただき、情報を収集し調査探究をすすめています。フィールドワークでは市内の事業所等にお邪魔し様々なヒントをいただくことができました。また、東北学院大学地域総合学部政策デザイン学科の和田正春教授には課題の設定方法や情報収集、考察の仕方などアドバイスをいただき、現実味のある内容を検討しています。3月中旬には市長さんはじめ市議会議員の方々においでいただき、発表会を行う予定です。現在その発表会に向けそれぞれのグループでまとめの作業を行っています。
 栗原市がますます住みやすく魅力ある街になるようこれからも築館高校そして築高生は頑張っていきます。今後ともご支援ご協力をお願いいたします。

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緊張の1年のスタート 13年前を忘れずに・・・

 新年明けましておめでとうございます。今年の年明けは例年になく暖かで雪もなく非常に穏やかに迎えることができたのではと思いきや16時10分頃に石川県能登半島でM7.6の大地震が起き日本海側に大津波警報が発令されました。遠く離れた宮城県も最大震度3の揺れを感じその大きさを実感しました。テレビ画面は一斉に切り替わり、「早く高台に避難して!」とのアナウンサーの声、一瞬にして正月気分が吹き飛びました。そして13年前のあの日がよみがえってきました。時間の経過とともに被害の状況が明らかになり、東日本大震災、阪神淡路大震災に次ぐ被害の大きさとなっています。コロナ禍が収束し、数年ぶりに家族が集まっただろう家もあったと思います。押しつぶされた家の下にあったはずの談笑の風景を思うといたたまれない気持ちになります。被災された皆様には謹んでお見舞い申し上げます。
 本校では、約10年前から近隣の宮野地区の皆さんと地域合同総合防災訓練を実施しています。コロナ禍でしばらく実施できなかったのですが今年度は4年ぶりに11月17日に実施しました。平日であり雨天ともあって20名弱の参加ではありましたが生徒と一緒に様々な活動を行っていただきました。避難訓練の後、1年生は栗原消防署と栗原市危機対策課の支援を受け、煙中訓練やAED操作訓練、応急担架作りや応急手当の訓練、2年生は栗原市ジオパークビジターセンターの推進員の方から栗原市の災害の歴史についてお話しいただきました。3年生は防災士会みやぎから講師をお招きし、地震が起きた際の対応などを丁寧に指導いただきました。また、最後には炊き出し訓練を兼ねて参加者全員でなめこ汁を食べました。一日中雨が降り肌寒かったので体が温まりました。充実した訓練だったと思います。
 ほとんどの生徒が宮城岩手内陸地震・東日本大震災等大きな地震を経験し、自然災害の恐ろしさを理解しています。しかし、あれから13年、高校生となり果たすべき役割が「守られる」から「助ける」に大きく変わってきました。今回の訓練をとおし意識を高めてくれたのではないかと思っています。被災時には必ずや築高生が自身や家族の安全を守ることはもちろんのこと、地域住民の安全にも気を配り積極的に活動してくれるものと思っています。栗原市はじめ地域は少子高齢化が進み、災害時は中高校生が貴重な戦力になります。災害時に必要な知識や技能をしっかり身につけ役割を果たしてもらいたいと思っています。今後はさらにブラッシュアップし、充実した訓練になるよう工夫して参ります。
 年明け2日には羽田空港で日本航空の旅客機と海上保安庁の輸送機が衝突し大炎上する事故が起こりました。残念ながら海保の乗組員5名がお亡くなりになりましたが、旅客機に搭乗していた約400人の乗客は幸いにも全員が無事脱出できました。ネット上はもとより欧米各紙はこの脱出劇を「奇跡の18分」と称賛しています。日本航空では、毎年乗員全員が丸1日の脱出救助訓練を行っているとのことです。まさに今回はその訓練の成果だと思います。
大震災から13年が経過し、復興が進み穏やかな日常を過ごしています。それと同時に少しずつ風化がはじまっているような気がします。いつどこで災害が起こるかわかりません。日々の備えをおろそかにしないよう生活していきましょう。
 今年の干支は甲辰。これまでコツコツ蓄えられた学びが芽を出し、活力に満ちた草木のようにすくっと伸びて、努力が花を咲かせる年、といわれています。どうか今年1年がみなさんにとって実り多い年であることを願っています。 

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シン「3年後、なりたい自分がそこにいる。」

 令和5年も早いもので12月になりました。栗駒おろし(北西からの季節風)が肌に突き刺さる厳しい冬を迎えます。もはや栗駒山は真っ白です。まもなく麓のこの築館にも積もる日が近いのかと思います。
 さて、築館高校のキャッチフレーズは「3年後、なりたい自分がそこにいる。」です。「築高で勉強に部活動、そしてボランティア活動に積極的に取り組み、3年後の卒業する頃には心身ともに大きく成長し、なりたい自分が実現できる。」そんな築高での実りある学校生活をイメージし、約10年前にこのキャッチフレーズが新設されました。校舎の北側に懸垂幕、西門脇に横断幕として掲げ、今や築高のシンボルとなっています。この10年間、代々の築高生に目標として唱えられ、そして築高生一人ひとりを勇気づけてきました。全ての築高生、卒業生は間違いなくそらんじてしっかり記憶されているものと思います。すっかり地域に浸透し、このキャッチフレーズが気に入って本校を目指してくれている中学生もいるほどです。その懸垂幕と横断幕、いよいよもって貼り付けている複数のロープの穴が綻び修復不能となってしまい、また白かった下地も薄黒くなり10年目をしてリニューアルすることにしました。
 リニューアルにあたり、デザインを公募するとともに絞ったデザイン案から生徒会のみなさんに選んでもらいました。下地を母校である築高から「青雲の志」をもって飛び立つイメージでスクールカラーであるエンジからブルーへのグラデーションを施し、文字を黒「なりたい自分」は目立つように濃いエンジにし、見やすいように白で縁取りしたものです。素敵なデザインで気に入っています。築高生のみなさん、ぜひ一度じっくりこのキャッチフレーズを仰ぎ見てください。そして、その意味をかみしめてください。

   

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「なりたい自分」を貫こう

 先日 志津川高校(現 南三陸高校)の100周年記念式典に行ってきました。志津川町(現 南三陸町)は2011年3月11日に起こった東日本大震災による大津波で町の中心部が飲み込まれ壊滅的な被害に遭った町です。志津川高校(南三陸高校)は海岸から西に2キロほど離れた丘に立っており、大きな被害はなかったものの、震災後はしばらくの間グランドが仮設住宅で建ち並んでいました。また、多くの生徒が被害に遭いながらも家族のため、地域のために動き回り心を尽くし復旧復興にあたってきました。1階の教室に震災当時の町や志津川高校の生徒達の様子が展示されており、当時の志高生の力強さを感じてきました。
記念講演として植松電気の代表取締役植松努さんの「思うは招く」と題したお話がありました。植松さんの会社は北海道にある従業員30人足らずの町工場です。しかし、北大の教授と出会いがきっかけで、ロケットをまるごと自分たちで作り打ち上げることができました。それだけでなく人工衛星もアメリカのNASAにある宇宙と同じ無重力状態を地上で作り出せる実験施設まで作りました。植松さんも従業員も専門知識を学んだわけではありません。お金も学歴もありません。「夢があれば何でもできる」「失敗を恐れない」「夢をあきらめない」の精神でとてつもないことをやり抜いた工場です。あの池井戸潤さんの小説「下町ロケット」のモデルになった工場です。そのリーダーである植松さんの自分の歩んできた人生、自分経験に裏打ちされたお話に大変感動しました。印象深かった内容を紹介します。

 「歩くことをあきらめる赤ちゃんはいない」
 失敗すると「かっこ悪い」と思う。みんなが見ている前で、間違えたり、転んだり、チャレンジしてうまくいかなかったら、恥ずかしくて、みっともなくて、悲しくて、一生ベットにもぐり込んでいたくなる。
 だけどそれって、いつからでしょう?
 君が仮に15歳だとして、10歳の時は違ったのかな?5歳に時はどうだったかな?
10代なんて、ありとあらゆることがかっこ悪く、恥ずかしさ全開の時代です。恥ずかしくなったのは、実は最近のことです。
 はいはいを卒業して、つかまり立ちをした赤ちゃんは、自分の意思で歩こうとします。当然だけどうまく歩けない。よちよちと一歩踏み出した途端転びます。これは明らかな失敗です。健康な人なら誰でもできる「歩く」という動作が、まともにできないのですから。でも、赤ちゃんは転んだ自分を「かっこ悪い」と恥ずかしがったりしません。「どうせ自分には才能がない」とがっかりもしません。「歩くのは向いてないから、やめよう」と諦めたりもしません。頭からどてっと派手に転んだ赤ちゃんも立ち上がり、何度でも歩こうとするのです。
 これが僕たちの本来の姿です。君のもともとの姿です。君は自信を持って生まれてきた。歩く、しゃべる、ものを食べる、笑いかける。赤ちゃんにとって「はじめてのこと」は無数にあります。でも赤ちゃんはすべてのことに挑戦し、そのすべてに失敗し、それでも成功するまで何度も挑戦します。なぜならば、恥ずかしくないから。なぜならば、「できる」と自分を信用しているから。なぜならば、自信があるから。君もかつては、そんな赤ちゃんでした。そう、君はしっかり自信を持って生まれてきたのです。 
 「これをしたい」と自分で思ってチャレンジし、失敗し、なんどもチャレンジする。そうやってチャレンジを繰り返して、いろんなことができるようになっていく。
 いろんなことをやる最初の一歩は、自分で「これをしたい」と思うことだと僕は思います。

 みんなだれだって 新しいことはうまくいきません。「失敗」します。しかし、「恥ずかしい」思いが先行してしまうと チャレンジすらしないでしまう。もったいないです。
 自分の人生は一回のみ。「自分の意思」を貫いてみよう。
 築高生諸君 「なりたい自分」をえがき 貫いてみよう。

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受験の秋 いざ!!出陣

 10月に入り今までの猛暑が嘘のようにめっきり涼しくなりました。栗駒山も装いを変える準備の時期の入っていろようです。季節の変わり目の早さに驚いているところです。
 さて本校も第2回考査が終了し、後期に入りました。9月に行われた就職や公務員試験の結果が続々と発表されています。目標目指し頑張ってきた多くの生徒が結果を残すことができています。面接指導をしていただいた築館ロータリークラブの皆様のご指導のたまものと思っております。地域で地域の子供たちをなんとか育て地域に貢献してほしいという強い思いありがたく思っております。この場を借りて感謝申し上げます。
 最近は、放課後毎日のように生徒が校長室にやってきます。まもなく公務員の二次試験や大学入試の総合型選抜や学校推薦型選抜がはじまり、それに向けた面接の練習です。多いときでは4,5人になるときもあります。オープンキャンパス等に出かけ意思を固めることから始まり、インターネットやさまざまな文献で学問分野等を調べ、志望理由を丁寧にまとめようと必死になって頑張ってきたようです。はじめて校長室に入り、緊張している生徒もいましたが、今までたくさん練習してきたのか流暢に話すことができていました。是非、自信を持って試験に臨み進路達成してほしいと思います。

「受験生に求められる力」について2021年にベネッセコーポレーションが大学にアンケート調査を行った結果です。
     《学校推薦型選抜》 《総合型選抜》
  ①明確な志望動機    79% ①明確な志望動機    89%
  ②基礎学力    62% ②コミュニケーション力 63%
  ③思考力・判断力・表現力など応用的な学力   54% ③前向きに取り組む姿勢 61%
  ④コミュニケーション力 53% ④卒業後の展望  55%
  ⑤前向きに取り組む姿勢 50% ⑤思考力・判断力・表現力など応用的な学力  55%

 やはり「明確な志望動機(大学・学部・学科で学びたい理由)」が学校推薦型、総合選抜型友に最も多く、重要視していることが分かります。学びたいことがはっきりしている学生は当然大学入学後もしっかり講義に参加し、意欲的に課題研究に取り組み目標の職業に就いていることが根拠になっているのでしょう。次いで学校推薦型は「基礎学力」「応用的な学力」の順で学力重視、総合型選抜は「コミュニケーション力」「前向きに取り組む姿勢」の順と発信力に重点を置いているなど観点が分かれているようです。
令和の時代になり大学受験も変革期に入り、共通テスト等学力試験を受験する一般型の選抜から総合型選抜や学校推薦型選抜など選抜入試が急激に拡大しています。自己分析し、自分の強みを活かした大学選択をするか、自分が目指す大学・学部側の求める人物像をしっかりリサーチし自分を合わせていく必要があると考えます。いずれにしても早めに動くに越したことはないようです。
 築高では「総合的な探究の時間」で1年生は自分の進路を深く考えるキャリアガイダンスや大学の教官を招いた出前講座、2年生では東北学院大と連携して地域課題を研究調査し、その解決に向けた政策提言を考えるなど夢実現に向けた取り組みを行っています。
その活動をとおし、「なりたい自分」を固め、前に進んでほしいです。
地域の期待を背負い かんばれ 築高生!!

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行事で伸びる築高生

 第19回築高祭が9月1日(金)・2日(土)の2日間、大きな制限を加えず実施し、大盛況に終了することができました。4年ぶりに全校生徒が体育館に集い、また保護者だけでなく地域の方にも案内し、400名を超える方が来校してくださいました。ありがとうございました。すべての行事同じなのですが、全校生徒が初めてのことが多くその運営に戸惑ったことと思います。猛暑の中文化祭実行委員会を中心にやりきってくれました。ありがとう。お疲れ様でした。
 開祭式後のステージ発表は100分にも及ぶ軽音楽部のステージ。4つのバンド演奏はあたかもライブホールでのステージを思わせるもので全校生徒を一つにまとめてくれました。プロも顔負けのギターやドラムの高い技術が披露され日頃の努力を実感させるものでした。たぶん他の高校では体験できないでしょう。感動しました。
 もちろん吹奏楽部も素晴らしい演奏でした。大崎栗原地区でゴールド金賞を受賞したフルメンバーで約1時間美しい音色を披露してくれました。3年生を入れての演奏は最後ということで思いが込められていたのが伝わってきました。
 また、4年ぶりに復活した「人のため合唱団」先輩方が作詞作曲した東日本大震災復興応援歌である“明日の君へ”と合唱団のテーマ曲“風になりたい”を高らかに歌ってくれました。10名を超える男子パートも入り総勢30名の混声合唱団の歌声を聴き感無量でした。全校生徒も何かを感じてくれたのではと思っています。 
昨年から行われたクラス対抗のダンスパフォーマンスは素晴らしかったです。1年生から3年生まで短いようで長い5分間をメンバーそれぞれが役割分担しストーリー仕立てで観衆を楽しませてくれました。内輪だけで楽しんでしまいがちなところですが さすが 芸能のプロを多く輩出する築高の伝統なのか“観客第一”を考えて発表してくれました。ダンスの技術も素人の域を超えているものもおり見応えがありました。
 伝統文化部の書や美術部の絵画は一人ひとり丁寧に作品を作り上げ、日頃の熱心な活動の様子がうかがえました。また、お客さまにもきちんと説明し応対していました。図書委員会は絵巻物を3点展示し、その解説が分かりやすく大変興味をそそりました。
 模擬店も久しぶりで戸惑いはあったようですが料理研究部を中心にみんなで楽しそうに調理と販売に取り組んでいました。3年生の焼きそばは大繁盛でした。1年生もポテトフライにチャレンジしていました。クラスで協力し、準備から後片付けまでやり遂げました。
 クラスや部活動など参加団体の皆さん、短い準備期間でしたがよくここまで仕上げたと思います。時には意見が合わず対立することがあったかもしれません。それでも話し合いで乗り越え今日のそれぞれの発表につながりました。できばえも大事ですが発表までのプロセスがもっと大事です。その醍醐味を味わってくれたと思っています。すべての生徒に成長の跡が見られました。10月には体育祭があります。クラス一致団結し思い出多い行事にしてもらい、そしてそこでも成長してほしいと思っています。
 まもなく3年生は、各自の進路実現に向け苦しい戦いが始まります。個々の戦いではありますが進路実現を共通目標とする団体戦です。お互い励まし合い試練を乗り越えてください。築高生はやり遂げられるはずです。

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身近にある日本最大の地すべり地帯にはじめて足を踏み入れて

 7月12日(水)の午後に2年生の「地理探究」選択者20名と栗駒山麓ジオパークの中心地であるの荒砥沢地すべり内部に研修に行ってきました。荒砥沢地すべり地帯は、平成20年岩手・宮城内陸地震で発生した栗駒山麓崩落地の一つで、その規模は、幅900m、斜面長1300m、土砂総量は7000万立法メートル、森林や道路の一部を乗せたまま南東方向へ300m水平移動したもので日本最大規模と言われています。その地震による地すべりから15年が過ぎ関係機関によるモニタリング等の結果からさらなる地すべりにつながる重大な動きが観測されないという観点から、今年度より防災教育や学術研究ジオパーク研修等を目的とした高校生以上の団体にモニター的に入林が許可されました。この度、栗原山麓ジオパーク推進協議会事務局のご支援により、その第1号として本校が研修の機会をいただきました。
 雨が降ったりやんだりで足下がゆるく長い距離を歩いて回ることができませんでしたがマイクロバスで内部まで案内していただき重要なポイントをすべて観察ことができました。東京ディズニーランドと東京ディズニーシーを合わせた広大な面積が20分ぐらいかけてz z z z z……と動いたそうです。モニタリングシステム地点から一面に見える滑落崖は壮大で、自然の力とその驚異を感じました。また震災時の地すべりによって動き分断されたガードレールが点在しており、痛々しさと同時にそれを目印に動いた距離の長さを実感することができました。
 この地すべりは特有の地質構造が関係しているようです。下層がかつて湖底面ではなかったかと思われる滑りやすい砂岩と粘土質のシルト岩互層、その上に壊れやすい軽石質凝灰岩、さらにその上に質量の大きい溶結凝灰岩が積み重なるギャロップ構造で滑り面となった地層に地下水が影響しており、最大加速度が東日本大震災を上回る4022galの非常に強い力で揺らされ大きく滑ってのではないかと想定されているそうです。
 平成20年度岩手・宮城内陸地震はM7.2 最大震度6強の大変強い地震で死者17名行方不明者6名、約200棟が全半壊するなど甚大な被害をもたらしました。もちろん栗駒山麓にある道路が寸断されたり消失したり、ダムも被害を受けています。
 宮城県はこの岩手宮城内陸地震、東日本大震災はじめ度重なる地震に見舞われそのたびに被害を受けています。この後も大きな地震等災害が何度もやってくると予想されています。栗原地域は特有の地質で山間部は地すべりしやすく、揺れの伝わりも大きいとされています。最近は雨の降り方もひどく崖崩れや土石流など水害も懸念されています。地形地質を丁寧に調べその特徴を明らかにし、防災に活かしていかねばなりません。使命感を持ち熱い思いで研究されている栗原山麓ジオパーク推進協議会事務局のみなさんやジオガイドの方々からなかなか理解が難しい専門的な内容をかみ砕き分かりやすく教えていただきました。参加者全員その思いに引き込まれ、思いを新たにしたようでした。
 だいぶ研究は進んでいますが、分からないところも多く、その解明には地道で長い観察期間が必要のようです。研究員の方から地元地域の安全安心を支えるため一緒に研究してみませんかと強い勧誘もあったようでした。将来を担う築高生に大きく期待してます。
 私も知らないことばかりで大変勉強になりました。体験的な学習はほんとに楽しいですね。また、参加したいと思います。

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「自立した学習者」となり夢を叶えて

 6月2日(金)から5日(月)までの4日間 宮城県高校総体が行われました。私もこの期間できるだけ多くの会場に足を運び、多くの築高生の頑張る姿を目の当たりにすることができ、元気をもらいました。コロナ禍で十分に活動できなかったものの、定期戦、支部総体を戦い抜き、その経験を糧に力を発揮してくれました。ほとんどの競技が1回戦を突破し、3年間の集大成を飾ってくれたと思っています。
 弓道女子は多くの仙台勢がしのぎを削る中ベスト8に残りました。バレーボール女子も最後は第2シード聖和学園に敗れたものの2勝し、ベスト16に残りました。バスケットボール男子は強豪並ぶ仙台圏での予選を勝ち抜いた県工業に57-54で勝利し、久々に県大会1勝を挙げることができました。サッカーも炎天下の中、1-2で破れはしたものの新鋭ウェルネス宮城に先制ゴールをあげるなど食らいつきました。ソフトテニスは男女とも団体1回戦を突破しました。支部総体で優勝し、期待がかかった剣道部は惜しくも予選リーグ1勝1敗となり涙をのみましたが最後まで必死に戦いました。バドミントン部も男子は1回戦で女子は2回戦それぞれ最後のゲームのフルセットまで粘り抜きました。どの競技も立てた目標には届かなかったとは思いますが精一杯頑張ってくれたのではないかと思っています。3年生は、「やりきった」という充実感・達成感を得られたのではないかと思っています。
 先日6月1日から4日まで ハンガリーのブタペストで8月に行われる世界陸上の予選となる日本陸上競技選手権が大阪で行われました。令和2年度卒業生の鵜澤飛羽選手(筑波大学3年)が見事200mで優勝しました。参加標準記録にはあとちょっと届きませんでしたが世界陸上出場に大きく近づいたのではと思います。来年はパリオリンピックもあり、その出場への期待も高まっています。鵜澤君の頑張りが築高生はもとより栗原市民の励みになっています。みんなで応援しましょう。
 さて、全く話が変わります。ここ10年でスマートフォンが一気に普及しました。そして、そのスマホにより常にいろいろな世界につながることができるようにになりました。また、つながっていたものを一旦保留しながら、別のアプリで別の人と返答を順次繰り返すなど反射的なコミュニケーションを積み重ねる事ができています。
 しかし、その「常時接続」ができるようになると逆に「孤立」「孤独」の状態を経験することが難しくなってしまいました。いろいろなコミュニケーションや感覚刺激の多様性が、一つのことに没頭する事を妨げてしまっています。何かに集中して取り組むために、一定程度以上求められるのが〈孤立〉物理的な隔絶状態です。それに対して〈孤独〉は「沈黙のうちに自らとともにあるという考え方」と説明されます。〈孤独〉とは私が自分自身と過ごしながら「自分に起こるすべてのことについて、自らと対話する」いう「思考」を実現するものです。〈孤立〉抜きに「思考」をもたらす〈孤独〉は得られません。スマホにより間違いなく自分の頭でしっかり考える「思考」ができない、「思考力」が育たなくなっています。築高生諸君は「孤独」な時間をもてているでしょうか。
 築高在学時の鵜澤君は、自宅近くの長い坂道を使ってダッシュを繰り返し、孤独に自分を追い込んでいました。坂を全速力で上って、下りはゆっくり息を整え自分の走りを振り返り考える。その繰り返しが心地よかったようです。彼は自立した学習者でした。
さて、いよいよ今週15日の木曜日から第1回考査が始まります。総体が終わり、気が抜けてしまったところもあるかもしれませんが、いつまでも引きずってはいられません。特に3年生は、就職や進学を控え大変重要な試験になります。気持ちを切り替え「孤独」に勉強に取り組んでください。是非「自立した学習者」になり夢を叶えてください。

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令和5年度 第1号 久々の校歌の大合唱とエールに歓喜

 5月のゴールデンウィークが終わりました。4月7日の始業式・入学式から早いもので1ヶ月が経過しました。4月中は新たな環境となり、緊張の連続で疲れがたまったはずです。特に定期戦を控える築高の4月は忙しかったのではないでしょうか。連休も総体前で練習試合等いろいろあったでしょうが少しはリフレッシュできたでしょうか。
 さて、4月27日(木)、第64回古川高校対築館高校紫臙定期戦が、晴天下のもと古川高校、古川総合体育館、松山テニスコート、鹿島台球場で開催されました。令和2年度からの3年は新型コロナウイルス感染症の影響により、中止を余儀なくされたり、各競技ごと応援なしの分散開催でたいへんさみしい定期戦でした。
 今年度はコロナ禍も終息に向かい4年ぶりに全校生徒が一堂に会しての開催、両校とも厳しい応援練習を乗り越え、久しぶりに開会式での校歌の大合唱とエール交換ができました。壮麗な応援風景は圧巻で、両校の定期戦に関わった者として何よりもうれしく感無量でした。3学年すべての生徒が初めて体験したこの一堂に会しての定期戦、確かに応援練習はきつかったでしょうが開閉会式の大合唱、エール交換を経験し、定期戦の醍醐味を感じたのではないでしょうか。
 この古川高校との定期戦は今を遡ること67年前 昭和31(1956)年 当時の築高生徒から「古川高校の運動部と対抗戦で勝負したい」との熱烈な要望があり 当時の築高塩沢亮校長が了承し 築高生徒会が古高に申し入れたことがきっかけだそうです。築高生さすが行動力があります。古高サイドも賛同し 「互いに競い合い心身共に強くなろう」意気投合し その年の9月1日に野球・柔道・バレーボール・バスケットボールソフトテニスの5種目で始まったそうです。
 なんとその当時は 全校生徒が古川までの20キロの道のりを自転車で1時間10分かけ移動したようです。古川工業高校に自転車を置かせてもらい、ブラスバンドを先頭に古川市内を行進し 意気揚々と古高に乗り込んだそうです。その当時をイメージできるでしょうか。築高生の強い意気込みが伝わってきます。 
 しかし、第1回大会から3回大会まで総合で勝利することができませんせした。初勝利をあげたのは第4回大会だったとのことです。凱歌にある「臥薪嘗胆」はその思いを象徴しています。
「臥薪嘗胆」は中国の故事成語。越との戦いに敗れた呉王の夫差が、その悔しさを忘れないよう堅い薪の上に寝て過ごし、復讐を果たした、その後、越王の勾践がまた敗戦の悔しさを忘れることがなよう毎日熊の苦い肝をなめ、呉を討ち果たしたというエピソードから生まれた言葉です。今では「目的を成し遂げるため艱難辛苦する」意味で使われています。たとえ一度敗れても、次は打ち負かすよう粘り強く諦めずしたたかに準備し、成功を収める、築高魂を象徴する言葉と思います。 
 ところで、競技結果の方はバドミントン男女とバレーボール女子が勝利したものの、残念ながら総合は3勝12敗で破れてしまいました。しかし、それぞれの競技は昨年敗れた雪辱を期し力の限り戦いました。総合は大きく差が開いてしまいましたが、それぞれの競技はどれも僅差での惜敗、3年生にとっては悔しい思い出となったと思います。また、この定期戦での経験が今週末からの栗原・登米支部総体や6月3日からの宮城県高校総体に生かせるはずです。もう一度、チームの課題を確認し、修正して戦いに臨んでください。 
 1・2年生は「臥薪嘗胆」、この敗戦を片時も忘れることなくしたたかに準備し、来たるべき第65回定期戦では雪辱を果たしてほしいと思います。
 青春まっただなかの築高生は可能性の塊です。諦めずやりきり必ずできると信じています。

From 校長室 R5.5.11  

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