from 校長室

SNSを有効に利用するために

 ここ数年SNSは世論を動かすほどの影響力を持ち、特に今年は選挙戦にSNSが利用され、その効果の大きさが話題となりました。今や日本のソーシャルメディア利用者数は、2023年で1億580万人といわれ、若者中心のコミュニケーション手段からあらゆる年代におけるコミュニケーション手段へと変化しています。そう考えるとその絶大な影響力は当然のことと納得させられてしまいます。
 SNSのメリットは、まずリアルタイムで情報を得られることです。ニュースやトレンドが瞬時に拡散されるため、常に新しい情報を追うことができます。SNSを使うことで、社会的な出来事や興味のある分野の最新情報をすぐに知ることができます。また、友人や家族と簡単にオンライン上で繋がることができる手段としても非常に有効です。特に忙しい現代社会では、直接会う機会が減りがちですが、SNSを通じて日常の出来事や感じたことについてシェアすることで、関係を深めることができます。写真やメッセージを通じてお互いの生活を知り合うことができるため、コミュニケーションをより多く取ることができるメリットがあります。さらに、誰でも気軽に情報を発信できるのが特徴です。個人の意見やアイデアを投稿することで、自分の声を広めることが可能です。投稿がシェア・拡散されることで、多くの人々とつながるチャンスも増えます。この特性から、SNSには多くの人に支持されるインフルエンサーと呼ばれる人たちもいます。
 SNSは新しい人との出会いを促進するプラットフォームでもあります。共通の趣味や興味関心を持つ人たちと簡単に繋がることができ、情報交換もできます。SNSを通じてオンラインイベントやグループに参加することで、世界中の人たちと繋がることができます。日々の実生活で閉塞感があっても、SNSで世界中の人たちとつながり救われることもたくさんあります。
 一方で、気軽に情報発信できる分、個人的な情報が流出するリスクも高まります。プライバシー設定が不十分だと、知らない人から自分の個人情報にアクセスされる可能性があります。また、悪意のある第三者によるアカウント乗っ取りや詐欺の被害に遭うこともあるため、投稿する内容やプライバシー設定には注意が必要です。また、誹謗中傷やネットいじめといった人間関係のトラブルを引き起こすことがあります。特に匿名性が高いため、攻撃的な言動が助長されやすく、投稿が拡散されることにより被害を受ける人も出てきます。健全なやりとりを促すために、ユーザー間での意識を高め、誹謗中傷への厳しい対策が取られることが求められています。
 リアルタイムで情報を入手できるというメリットがあるSNSですが、裏を返せば信憑性の低い情報やフェイクニュースが溢れやすいという特徴もあります。情報の真偽を確認せずにシェアしてしまうと、自分自身が誤った情報の拡散者になりかねません。常に情報源をしっかり確認し、フェイクニュースの可能性を疑うことが重要です。また、重大な事件や話題に関しては、事実を知らずに反応することが多いため、注意が必要です。「闇バイト」情報などは最たるもの、うかつに乗らないように!!
 先日、オーストラリアの議会が16歳未満のSNSの利用を禁止する法案を可決しました。1年後に施行される見通しです。暴力や自殺、いじめなど「有害な投稿」から子供を守るのが目的で、対策を講じなかった運営企業に罰金を科す等です。年齢認証など課題も多いですが、未成年が犯罪に巻き込まれるなどSNS対策が世界的課題となる中、オーストラリアの踏み込んだ対応は海外に波及する可能性があります。
 コロナ禍の影響もあったと思うのですが、SNSやインターネットへの書き込みは単語やスタンプ(イラスト)によるやりとりで感情的なものが多く、社会問題になるほどに誹謗中傷の内容が多くなっています。社会も感情に流され 正しい理論が受け入れられない、そんな混沌とした世の中になっています。オーストラリアの対応もわからないわけではありません。
これからSNSの利用者が増えるに従い、ますます問題も増えていきます。一つの情報を鵜呑みにするのではなく、丁寧に調査する必要があります。発信する場合も感情的になって周囲に迎合してすぐ反応してはいけません。根拠をしっかり抑え、論理的にそして説得力あるわかりやすい言葉で自己の考えをしっかり表現しなければ、思わぬ炎上を生んでしまいます。この世の中を正す上でも重要と思います。スピードが重視される社会ですが、築高生にはじっくり問題に向き合い前向きな理論を展開し、社会に貢献してくれることを期待します。