from 校長室

緊張の1年のスタート 13年前を忘れずに・・・

 新年明けましておめでとうございます。今年の年明けは例年になく暖かで雪もなく非常に穏やかに迎えることができたのではと思いきや16時10分頃に石川県能登半島でM7.6の大地震が起き日本海側に大津波警報が発令されました。遠く離れた宮城県も最大震度3の揺れを感じその大きさを実感しました。テレビ画面は一斉に切り替わり、「早く高台に避難して!」とのアナウンサーの声、一瞬にして正月気分が吹き飛びました。そして13年前のあの日がよみがえってきました。時間の経過とともに被害の状況が明らかになり、東日本大震災、阪神淡路大震災に次ぐ被害の大きさとなっています。コロナ禍が収束し、数年ぶりに家族が集まっただろう家もあったと思います。押しつぶされた家の下にあったはずの談笑の風景を思うといたたまれない気持ちになります。被災された皆様には謹んでお見舞い申し上げます。
 本校では、約10年前から近隣の宮野地区の皆さんと地域合同総合防災訓練を実施しています。コロナ禍でしばらく実施できなかったのですが今年度は4年ぶりに11月17日に実施しました。平日であり雨天ともあって20名弱の参加ではありましたが生徒と一緒に様々な活動を行っていただきました。避難訓練の後、1年生は栗原消防署と栗原市危機対策課の支援を受け、煙中訓練やAED操作訓練、応急担架作りや応急手当の訓練、2年生は栗原市ジオパークビジターセンターの推進員の方から栗原市の災害の歴史についてお話しいただきました。3年生は防災士会みやぎから講師をお招きし、地震が起きた際の対応などを丁寧に指導いただきました。また、最後には炊き出し訓練を兼ねて参加者全員でなめこ汁を食べました。一日中雨が降り肌寒かったので体が温まりました。充実した訓練だったと思います。
 ほとんどの生徒が宮城岩手内陸地震・東日本大震災等大きな地震を経験し、自然災害の恐ろしさを理解しています。しかし、あれから13年、高校生となり果たすべき役割が「守られる」から「助ける」に大きく変わってきました。今回の訓練をとおし意識を高めてくれたのではないかと思っています。被災時には必ずや築高生が自身や家族の安全を守ることはもちろんのこと、地域住民の安全にも気を配り積極的に活動してくれるものと思っています。栗原市はじめ地域は少子高齢化が進み、災害時は中高校生が貴重な戦力になります。災害時に必要な知識や技能をしっかり身につけ役割を果たしてもらいたいと思っています。今後はさらにブラッシュアップし、充実した訓練になるよう工夫して参ります。
 年明け2日には羽田空港で日本航空の旅客機と海上保安庁の輸送機が衝突し大炎上する事故が起こりました。残念ながら海保の乗組員5名がお亡くなりになりましたが、旅客機に搭乗していた約400人の乗客は幸いにも全員が無事脱出できました。ネット上はもとより欧米各紙はこの脱出劇を「奇跡の18分」と称賛しています。日本航空では、毎年乗員全員が丸1日の脱出救助訓練を行っているとのことです。まさに今回はその訓練の成果だと思います。
大震災から13年が経過し、復興が進み穏やかな日常を過ごしています。それと同時に少しずつ風化がはじまっているような気がします。いつどこで災害が起こるかわかりません。日々の備えをおろそかにしないよう生活していきましょう。
 今年の干支は甲辰。これまでコツコツ蓄えられた学びが芽を出し、活力に満ちた草木のようにすくっと伸びて、努力が花を咲かせる年、といわれています。どうか今年1年がみなさんにとって実り多い年であることを願っています。